感想『とつくにの少女』ながべ 3巻

ダークファンタジー

※ネタバレあります。ご注意ください。

あらすじ

おばは早く内の国に戻ろうとシーヴァの手を引く。

シーヴァがせんせに何も言っていないと渋っているとせんせが追いついた。

ばけものとおばが叫ぶが、せんせは話を聞こうと近づく。

すると兵士達が矢を放ち、せんせは矢を受けてしまった。

せんせがひるんでしまった隙に馬車に乗せられてしまったシーヴァ。

すぐにせんせが馬車を追いかけしがみつくが振り下ろされてしまう。

シーヴァはおばと暮らしていた東の村に戻ってきた。

シーヴァがおばにむかえに来るまで何をしていたのか尋ねるが、おばははぐらかすだけで答えなかった。

おばと過ごすシーヴァだったが、せんせのことが心配だった。

おばはせんせがシーヴァを森の奥深くへ攫っていってしまうと兵士から聞かされていた。

シーヴァは違うと必死に否定するが、おばは騙されているのと言い聞かせる。

せんせのことをいい外の者だと思っているシーヴァだったが、おばの言葉も疑いたくなかった。

せんせはシーヴァを殺そうとしていた兵士が、今度は守ろうとしていたことに疑問を持たずにはいられなかった。

本当にシーヴァは無事なのかとせんせは心配する。

せんせの元に外の者たちが近づき、シーヴァを奪われたのかと言い放つ。

独り占めしてきた魂を簡単に奪われ、一人では何もできないくせに奪い返すつもりか。

外の者がせんせにそう言うと、せんせはバケツを外の者に投げつけ怒りを表す。

外の者はみんなでいけば取り返せると提案した。

村の人から果物やお菓子をもらい、家に帰るおばとシーヴァ。

その日の夜、おばはシーヴァにせんせには触れていないかと確認する。

シーヴァはうつむきながら触っていないと答えた。

翌日、シーヴァが寝室の扉を開けると、そこにはばけものとなったおばの姿があった。

家から出ていくおばを追いかけ家を出ると、そこには大混乱に陥った光景が広がっていた。

逃げ惑う人、呪われているのかと問い詰める人、自分に触れるなと叫ぶ人。

兵士たちが村人を矢で処刑し始め、シーヴァは必死に村から逃げる。

自分は何もしていない。自分のせいじゃない。

村の外れで燃えている村を見ているとせんせが来てくれた。

帰ろうとシーヴァと共に歩き出すとおばが近づいてくる。

ここに居場所がないおばもせんせの家までついてきた。

シーヴァは家に着くとすぐに倒れてしまった。

シーヴァが眠っている間、せんせとおばは外で話をした。

シーヴァはもともと外の国に捨てられていたのだった。

 

感想

外の国に人がいるはずないのに、おばがシーヴァを外の国に捨てた時点で外の者がシーヴァの傍にいることは必然だと思うのです。

おばに対してはあまり良い印象を持てないのですが、シーヴァが一番大切だいうことは伝わります。

そしてせんせにとってもシーヴァがとても大切です。

行かないでくれ、君がいないと、せんせにはシーヴァが必要なのですね。

おばとせんせにとっても必要な存在ですが、外の国と内の国にとっても大事な存在であるシーヴァ。

呪いの疑いが晴れたと嘘を伝えられ、シーヴァを捕えるために利用されたおば。

内の国の一番外側にあり、切り捨てても問題ない東の村。

白の神である父のお告げがまだなく、分かっているのはシーヴァが鍵となることだけ。

捕まえてもその後どうすればいいのかが分からないから、一先ず東の村にシーヴァを置いておくことした。

呪いがとければ内の国の人々すべてを救える、東の村を切り捨てたとしてもやむを得ない。

多数を助けるために少数を切り捨てる。

色んな漫画でも見ますが、難しい話ですよね。

シーヴァ自身に呪いの兆候はなくても呪われてしまっている。

おばは迎えに来た時点で呪いを貰ってしまった。

そしてシーヴァは村の人にも触れてしまう。

私は2,3日でおばが外の者になってしまったと思ったのですが、シーヴァが東の村に来てから実際にどれくらい日にちが経ったのかはよく分かりません。

おばが一番早くシーヴァに触れているので、村人よりも先に外の者になってしまうと思ったのですが、村人も同じタイミングで外の者になっている様です。

外の者になってしまうのは個人差があるのでしょうか。

一人でも外の者が出てしまった時点で、村は崩壊してしまう。

自分は違う、お前はそうだと混乱してしまう。

兵はどの村人でも処刑しなければならない。疑いがある時点で処刑の対象。

こんな光景を見て、挙句の果てに兵からお前のせいだと言われ。

シーヴァが平常心を保てるわけがありません。

自分が来てしまったから。自分のせいだ。

こんな小さな女の子には過酷すぎます。

でもせんせが迎えに来てくれます。

せんせが来たことでシーヴァは笑顔になります。

シーヴァにとってもせんせは必要な存在なのです。

 

内の国は白の神の父のお告げがすべてのようです。

疑いがはれシーヴァに出会った時、おばは神が自分とシーヴァを許してくれたのだと思っていた。

その時は本当に嬉しかったでしょう。

でも呪われてしまった。罰を受けてしまった。

おばは報われなかったのです。

あるいは、もう一度シーヴァに会えて、数日でも一緒に過ごせただけでも幸せだったのでしょうか。

 

精神的に辛い3巻でした。

 

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