※ネタバレあります。ご注意ください。
あらすじ
花戸小鳩、彼女の願いは行きたいところへ行くこと。
その為には、ビンいっぱいに傷ついた心を集めなければならない。
現代で暮らせるかどうかの試験に合格した小鳩は無事にビンを手に入れることができた。
しかし、色んな人の傷ついた心を癒そうと奮闘するがなかなか思うようにいかない。
ぬいぐるみの姿をした”いおりょぎ”と共に傷ついた人を癒す方法を考えながら歩いていると、シーツが飛んできて小鳩に絡まってしまう。
そのシーツは保育園から飛んできたもので、小鳩の元に先生と子ども達が駆け寄ってきた。
人手が足りていなくて洗濯物を取り込むのが遅くなったという先生の話を聞いた小鳩は、お手伝いをさせてほしいと頼み込む。
小鳩は願いを叶える為に保育園でお手伝いをする日々が始まった。
主な登場人物
〇花戸小鳩
裏表がなく、何事にも一生懸命な女の子。
頻繁に転んでしまう。
〇いおりょぎ
本当の名前は五百祇
異界の王族。
あることがきっかけでぬいぐるみの姿になってしまい小鳩の願いを手伝うことになった。
〇藤本清和
よもぎ保育園を手伝っている男性。
幼い頃に両親に捨てられ、よもぎ保育園の前園長に引き取られる。
借金を抱えた保育園の為に大学を休学し、バイトに明け暮れる日々を送っている。
〇沖浦清花
よもぎ保育園の園長。
前園長の父が2年前に亡くなり、園長となった。
借金を背負いながらも保育園を続けている。
感想
こばとの可愛さ、懸命さに元気が出る漫画です。
絵も可愛く、柔らかい感じです。
他のCLAMP作品『Wish』と繋がりがあり、人間界、天界(天使がいる世界)、地界(悪魔がいる世界)、異界が存在している世界観。
こばと単体でも読めますが、世界観の説明がほとんどないのでCLAMP作品が初めてな人は設定が何がなんだかという感じかもしれない。
でもこの漫画は世界観はおまけで、大好きな人の幸せの為に何ができるのか考えていく話です。
こばとの願いは”自分を大好きでいてくれる人達のところへ行く”こと。
それを叶える為に、こばとが一生懸命に保育園のお手伝いをします。
こばとの明るさに借金を抱えている清花も元気づけられます。
借金のことを知ったこばとですが、お金のことはどうすることもできない。
でも、少しでも清花の力になりたいというこばとの気持ちに色んな人の心が救われます。
借金を少しでも減らそうと日々バイトしている藤本は、こばとに対して意地悪なことばかり言います。
藤本は嫌いな相手なら相手にもしない。いつも一人で突っ走ってしまうこばとのことを心配しているのですが、ぶっきらぼうな事しか言えない。
次第に藤本はこばとに心を惹かれるようになりますが、こばとには全く伝わらない。
ぶっきらぼうすぎで分かりずらい、好きな子をいじめてしまう小学生のよう。
こばとも次第に藤本のやさしさに気が付いて好きになってしまう。
そしてこばとの願いが変わっていきました。
こばとは生きても死んでもいない存在。複雑な存在でした。
五百祇が水晶と呼ばれる天使を好きになり、彼女を手に入れる為に天界に戦いを吹っ掛けます。
運悪くその戦いの余波を人間界にいたこばとが受けてしまい命を落とそうとしていた。
それを知った水晶はこばとの魂に代わることで時間を止めました。
しかし水晶の魂がこばとの中に入っても、このままでは水晶もこばとも消えてしまう。
五百祇は二人が消えない様に神に願った。
神は五百祇に記憶と知識を失ったこばとを導いて彼女の願いを叶える手伝いをしろと条件を出しました。
全ては五百祇のせいだったんです。
とばっちりもいいとこですよ。
でも、こばとは元々身体が弱くて病院生活だった。
余波を受けたおかげで外で元気よく動き回れるようになれたので、こばとは良かったと言っています。
こばとは藤本を好きになったことで、藤本を幸せにしたいという願いに代わりました。
こばとの大好きな藤本の幸せは藤本が好きな相手である清花が幸せになること。
清花の幸せは元旦那と借金から解放されて二人で幸せになること。
こばとは大好きな藤本の幸せの為にビンに集めたものを使いました。
自分が消えてしまうことになっても、藤本達の幸せを願ったのです。
こばとが消えずに藤本達が幸せになれたら良かったのですが消えてしまいました。
藤本の想いに気が付いていたら、こばとは違う願いになっていたのかもしれないですね。
最終的にこばとは生まれ変わり、藤本と幸せになることができます。
そして、いおりょぎや水晶も幸せになれそうと分かって終わります。
色んな人が大好きな人の為に願って、全員が幸せになれる結末になって綺麗にまとましました。
大好きな人が幸せであることが自分の幸せ。
こばとはそんな綺麗な心を持っています。
大好きな人が自分を選んでくれなくても、相手の幸せを願わずにはいられない。
そんな辛くて優しい世界です。