※ネタバレあります。ご注意ください。
あらすじ
下校時、譜面を部室に忘れてきたことを思いだした朝が部室に戻ると後輩達が朝のことを話していた。
まさか悪口かと扉の前で耳を澄ませていると、朝の両親が亡くなっていることを知りどう接したらいいのか分からないという内容だった。
言ってはいけない地雷を避けようとすると喋れない。
地雷だって知らなくて人を傷つけたら自分のせいなのか。
朝は後輩から気遣われていることを知ったことで、えみりの友達やえみり自身の気持ちも少し理解できるようになった。
中学の卒業式を”ふつう”で卒業したかった朝。
朝が”親が死んじゃった人”であることには変わりない。
だけど、その以前に朝は朝だ。
そして、えみりはえみり。
あたしはあたし。
みんなそうなのだと思えるようになった朝だった。
感想
朝の成長です。
朝自身が体験して、日々色んな人を見て感じた結果ですかね。
何を喋ったらいいのか分からない、というのは常日頃私も悩んでいますが、なら喋らないという結論になっています。
喋りたいことがあれば喋ればいいやと友達といても無言の時がありますね。
何が地雷かなんて会話してみないと分からないのが辛いところですよね。一度は必ず相手を傷つけないと分からない。
最初に相手から「この会話されるの嫌」と言われれば分かりやすいですが、私も自分から言い出したことはない。
私は傷つけた後ははぐらかさずに謝ろうと思っています。それでも会話は難しい…。
朝の周りには自分をもっている人が多くて、槙生やジュノさん、色んな人がいて、朝の考え方がどんどん変化しているのが分かります。
朝が「えみりが何で傷つくかは、えみりが決めるんだ、あたしじゃなくて」とえみりに謝りました。
朝が変わったなと思った瞬間でした。
朝の素直な性格もあってこその変化でしょうね。
あたしはあたし、それ以上でも以下でもない。
えみりは覚悟して朝に彼女がいることを話しましたが、朝の謝罪にほっとした様子。
偶に描かれているえみりの大人像がかっこよくて好きです。
朝のお父さんについて
真の脇役では?と思いました。
朝がお父さんの会社の人に話を聞いても、えみりの両親に尋ねても、誰に聞いても当たり障りのないことしか分かりません。
これはもう、脇役の中の脇役です。
お父さんが「誰」なら、朝は「誰」なのでしょうね。
というか、「誰」って何でしょうか?
お父さんが誰なのか、自分を愛していたのか、朝の納得する答えがいつか分かる時が来るのでしょうか。
お父さんがいつも眼鏡で目が見えなくて無表情なので、違う姿のお父さんが見たいですね。
私は誰?みたいなことを深く考えたところで答えはでませんし気が滅入りますが、探し続けることが人生なのかなぁと大層なことを思いました。
それにしても、えみりの大人の姿がやっぱりかっこいい。