※ネタバレありますご注意ください。
あらすじ
何者かが”球”を地球に投げ入れた。
何にでも変化できるそれは、いろんなものを写しとっていく。
石、コケ、動物、人間
意識を獲得し、痛みを獲得した。
それは世界を彷徨いながら、自分を獲得していく
感想(ネタバレあり)
表紙を見た時、少年と狼が旅でもするのかと思いましたが、全く違いましたね。
何ももっていないものが刺激を求めて旅をする話。
それは情報を収集する機能だけが備わっていて、どんな情報も収集できる。
ロボットではないので、感情ももちろん獲得できる。
収集するには刺激が必要で、傍にいた人や動物が死なないとその情報を獲得できないようです。
2巻でマーチが矢で撃たれた時、それは怒っていた。マーチをママとして懐いていたそれにはこの時点でそれなりに感情を獲得できているように思えました。
でも、マーチが死んだとき、それはまだ哀しみという感情はないのか泣いたりすることはなかった。
それは死んでも何度でも再生する。それにとって”死”というのは状態変化を示すもの。マーチが死んだとしても、彼女を獲得したそれは、共に旅に出でただけ。
言葉を覚え、文字を覚えると、それはさらに人に触れることになる。
それが死について、何を感じるようになるのか気になりますね。
それを作られた目的は、”この世界を保存する”こと。
そして、それが情報を収集する機能があるように、奪う機能しかない敵がいる。
そもそも世界を保存するというのは、世界の何を保存するのが目的なのでしょう。
奪う側のものがあるのなら、あまり良いものではないのかもしれない。
それがいろんなものを収集した後、自分の役割について何を思うのか。
生まれたばかりの赤ん坊のように、”何もない”ものが刺激があふれる世界でどのように変化してくのかとても気になります。
表紙は、亡くなった人や動物が描かれているようですね...。次の巻も亡くなってしまうのでしょか。
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