※ネタバレあります。ご注意ください。
あらすじ
聖府の地方主任担当者ラル・ビエントと補佐官のジレ・クラッヒトは各地方の伝承や史実という所謂昔話を集めて旅をしている。
2人が次に到着した都市は、火山の火を使った鉄鋼が盛んな都市アユシェアイア。
到着して早々、地中に住むもの”ゲノーモス”が鉄鉱石を売りに来ていたが買取の値段が安いと揉めているとこに遭遇した。
ここではここ半年ほど火が消えてしまい鉄を打つことができず困っていた。
ラルは市長に対し救援要請をする代わりに昔話を聞かせてほしいと交渉する。
市長の話ではこの都市は1000年以上前に、大地を荒らす竜を退治したことで造られたとのこと。
そしてラルはゲノーモスにも話を聞くため、鉱山へ向かう。
鉱山に向かうとタイトと呼ばれるゲノーモスが鉱山を売り長の薬を手に入れるために遠出をしようとしているところだった。
ラルは薬を渡す代わりに長に会わせてもらうことに成功。
鉱脈の奥に体の一部が結晶化してしまった長がいた。
ラルは風の力で長の結晶化を治し、昔話を聞く。
7800年前、突然に大地が火を噴きながら盛り上がり火山ができた。
そして、これまでに6度の噴火を繰り返している。
市長から聞かされていたのは最後の噴火の話だった。
そして人が住む以前は地竜の巣であったという話でラルは竜の正体を突き止める。
ここに住むのは竜ではなく、地竜だったのだ。
翌日、タイトに地竜の住むであろう場所に案内をしてもらった。
しかし市長に後を付けられていて、地竜を殺せば山の火が復活すると密造火薬を地竜の巣に投げ込もうとしていた。
その時、急に地竜が地中から何体も現れ、火山が噴火し始めた。
幸いにもジレの指示のおかげで市民は避難していたが、都市は一瞬で焼けてしまった。
何もかも失ったと放心状態の市民に、ラルはゲノーモスと協力して建て直せと提案する。
住むところなら面倒みると申し出てくれたタイトの言葉に、市民は活気を取り戻した。
登場人物・世界観
メイン登場人物
主人公:ラル・ビエント
聖府地方主任担当官 聖誌編纂部所属
精霊の血が混ざっており、風のご加護を受けている男性
自由奔放で研究者気質で見たことない生物や植物を見つけ採取してはジレに怒られている
補佐官:ジレ・クラッヒト
力自慢のクラッヒト家一族の女性
女性だが一族の血を引いており力はそんじょそこらの男よりもある
世界観
風、火、土、水の4元素で成り立っている世界
元素を循環する力をエーテルと呼び、人間が生きていけるのもエーテルが体の中を巡っているおかげ
生まれ持ったエーテルの量が多いと、他の人には見えないものが見え、力を使えることがある
精霊も竜も存在している世界だが、1巻での都市や村の人は言い伝えで聞かされているだけで実際に見たことがなかった
感想
ファンタジーです。
ラル達の旅の目的は昔話を集めているというのは建前で、本当は別のようです。
旅行記を手掛かりに「彼」が「巡霊」した足跡をたどっているようですね。
彼が誰なのかも全く分かりませんが、ラルに関係しているのでしょうか。
人は精霊の力が必要なわけではなく、干渉せずにそれぞれが生きている。
竜についても近くに生息しているのに、古くからの言い伝えを守って生息地には近づかないため、人々は竜の存在を知らない。
不思議な世界です。
蒸気機関に力を入れはじめたばかりなので、産業はまだまだの時代。
人が科学を発展させていくと、精霊のようなものはどんどん人々から忘れ去られていくもの。
精霊の住む場所が無くなっていってしまう。
しかし、精霊がいたとラルが認めると国ですらその土地に手出しができなくなると言っています。
ラルのおかげで精霊の住処が守られるようですね。
不純を嫌うことで有名な精霊との混血であるラル。
彼は自分の命は使わずに耳飾りを使って風の力を使っています。
しかしふつうは自分の命を削って力を使います。
森の魔女と言われていたシルワは力を使いすぎて16歳の少女には見えない姿だった。
力があっても使い方が分からないのですが、シルワが古王の精と出会ったことで力の使い方を学びました。
ラルが古王の精にシルワを弄んだだけだと決めつけていますが、シルワは自ら望んで力を使って捨てられた子どもたちを守っていた。
自分の命をどう使うかは本人が決めること。
命を削らずに力を使うラルに知った口を叩くなと古王の精は怒ります。
シルワは力の使い方を教えてもらう代わりに、還ることなく結晶となって古王の精のものとなりました。
大切な存在であるシルワがずっとそばにいてくれると古王の精は嬉しそうです。
生きる時間が違いすぎる精霊と人。
先に死ぬのは人であることは変わらない。
古王の精は人と共に生きていてもろくなことにならないと言っているので、共に生きてみたことがあるのでしょうか。
精霊と人。
その両方の血をもつラル。
今後、何が起こるのか楽しみです。
あとはジレがラルと共に旅を始めた経緯や、ジレの過去が読みたいです。
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