感想『とつくにの少女』ながべ 6巻

ダークファンタジー


※ネタバレあります。ご注意ください。

あらすじ

おばの知り合いの家に到着し、シーヴァとせんせはひとまず掃除をすることに。

その日の夜、眠れないシーヴァが本を読んでほしいというのでせんせが読み聞かせをしていると、シーヴァはせんせの胸ポケットにあったロケットペンダントに目が留まった。

蓋を開けると写真が入っていた。

その写真はせんせの家族の写真だった。

せんせは本当は人間で、どうして外の者になってしまったのか分からなかった。

内の国の人間で、家族もいて普通に暮らしていたはずなのに、今となっては名前も自分の顔すらも思い出せない。

翌日、薪に使える枝を集めに出かけようとしたせんせにシーヴァは着いて行った。

昨日から様子が少しおかしいシーヴァを心配していると、おばにはもう会えないのだと泣き出してしまった。

気丈に振る舞っていただけで平気だと決めつけていたせんせは咄嗟にシーヴァを抱きしめようとしたが踏みとどまる。

枝を集めて暖炉の前で乾かしていると、外から誰かの足音が聞こえた。

せんせが斧を持って構えていたが、やって来たのは外の者だった。

兵士かと思ったのだが、外の者達が兵士を前住んでいた家の方にいると吹聴してくれていた。

何度も会っている外の者は兵士のせいで頭だけになってしまい、新しい外の者が頭を運んできた。

湖でできなかった話の続きをしたくてやって来た外の者。

外の者達が二人に付き纏う目的は、一つは呪いに蝕まれないシーヴァを使って魂を奪う方法を試すため。

もう一つはせんせが何者かを知るためだった。

内の者が呪われると、一月と経たずに木になってしまう。なのにせんせはそうはなっていない。

外の者はせんせとよく似た形の外の者を知っていたので本人かと疑っていたのだ。

せんせはその外の者が自分をこんな姿にした張本人だと言う。

同じ形をした子がいるのはよくあることだが、せんせがその子だと思っている外の者。

外の者は本人でないのなら、その子に魂を奪われた可能性もあると言った。

外の者である黒の子は魂を奪う力があったのだ。

せんせが外の者達との話を終えて家に戻ると、シーヴァは二階の窓から顔を出して待ってくれていた。

干していたシーツが風に飛ばされ、咄嗟に掴もうとしたシーヴァは窓から落ちてしまう。

間一髪でせんせがシーヴァの下敷きになることができたが、せんせがシーヴァの腕を掴んでしまった。

呪いを受けても平気だと言うのに触れてくれないせんせに、シーヴァは本当は平気ではないのかと不安そうに俯いてしまった。

せんせはまた間違えてしまったのだ。

せんせがそっとシーヴァの頭をなでると、シーヴァは涙を流しながらせんせに抱きついた。

泣かれてしまいどうしたらいいのか分からないせんせは、泣き止んでくれとシーヴァを抱きしめたのだった。

感想

外の者達が次第に可愛く見えてきました。

外の者達はおかあさんによって作り変えられる。

見た目も呪いも結末も呪いを受けた内の者と変わらないのですが、全く違う存在。

外の者達は魂を見つけることはできても取り返し方が分からない。

でも魂を奪う力がある。

外の者が魂に触れると蝕んでしまうから、奪うことができてもおかあさんに返すことができない。

だから触っても蝕まれないシーヴァを使って取り返す方法を見つけたい。

外の者がせんせの事を本当は外の者か、あるいは魂を奪われたかと言っていますが、微かな記憶がどうしてあるのか不思議です。

せんせは同じ形をした外の者がこの姿にしたと言うので魂を奪われた可能性の方が高いですが、だからといってこれほど長くいられるわけではない。

だから外の者はせんせが仲間だと疑ったのです。

ですが、前に住んでいた家の資料を漁っていた兵士達が国の中心に突然呪われたものが現れて今は封鎖された街に医者が一人いたと話しています。

せんせが何者かが分かりはじめてきましたね。

せんせが内の者か外の者かは置いておいて、大事なシーヴァを手放すことはあり得ません。

大事なシーヴァに対して、せんせは間違いばかりしてしまいました。

シーヴァはおばに会えないことを実感します。まだこんな小さい子が平気なわけがありません。

せんせの前では元気に明るく振る舞っていたのでせんせも勘違いをしていました。

そして、呪いを受けても平気だと言うのに自分が触れると呪われてしまうのではと恐れていたせんせでしたが、シーヴァも怖がっていたのです。

せんせが触れてきてくれないから、本当は呪いを受けたらおば達の同じように呪われるのではと不安になっていました。

守りたいはずのシーヴァを自分の行動で不安にさせていたことに気が付いたせんせは、ようやくシーヴァに触れます。

シーヴァも嬉しいでしょうね。傍にいてくれても触れることができないのは寂しいですから。

せんせとシーヴァの雪遊び、本当に楽しそうで微笑ましい。

せんせは冷たいや痛いという感覚が無くなってしまったのですが、シーヴァは痛い感覚が無くなっていることを羨ましいと言います。

どれだけ刺したりしても死なないのなら痛覚はなくてもいいかもしれませんが、感覚がないと生きている実感がなさそうで嫌ですね。

せんせは時折感じる胸の違和感が分からずシーヴァに尋ねます。外の者になってしまったせんせがどうして胸のあたりに違和感を覚えるのか。不思議です。

穏やかで幸せな時間がすぐに終わってしまいました。もう少し見たかったですね。



タイトルとURLをコピーしました