感想『魔女と野獣』佐竹幸典 6巻

ダークファンタジー・バトル
出典:佐竹幸典『魔女と野獣 6』


※ネタバレあります。ご注意ください。

あらすじ

階層世界フォールの地下4階、魔術が存在しない世界”オルエンシア・セット”。

真っ黒の服を着たアシャフとギドは公園の橋の上で突っ立っていた。

周囲の人は二人をこそこそと盗み見している。ギドは自分達の服の色が明らかに周りと違うことに気が付いた。

今回の協力者といつどこで会うかを決めておらず、そもそも協力してくれるのかも定かではないと言うアシャフ。

だからこそ、目立たなければならず、協力者からの要望で吸血鬼に愛された黒色の服を着ているのだった。

日が落ちても協力者が現れず、狭い路地を馬車で走っていると突然に他の馬車にぶつけられた

馬車から降りると、今回の協力者の吸血鬼ダンウォードがギドに襲い掛かる。

もう一人の協力者、術師のオスカーも現れ手荒な真似をしたことを謝罪した。

どのみち荒事になると言うダンウォードの言葉通り、建物の屋根に複数の吸血鬼が現れギドとダンウォードに襲い掛かってきた。

街で起きているこの街の作法から逸脱した吸血事件の犯人と疑われたギド達。

吸血鬼は不死で動きも早かった。

ダンウォードから戦い方の作法を教えてもらいながら戦うギド。

しかし男の吸血鬼に力負けしてしまい、ダンウォードに助けられてしまう。

ダンウォードが制圧すると、襲ってきた集団に今回の吸血事件の犯人を捕らえたから代わりに王に会わせろと取引をした。

ダンウォード達の目的と、ギド達の目的は一致していたのだ。

吸血鬼の女王を探すことが両者の目的だった。

吸血鬼最大勢力の一つである血族コングラードの催し物に潜入できたアシャフ達。

吸血鬼達が自分の所有物を見せつけて知らしめるという独特な催し物。

アシャフとオスカーが会場端から眺めているとダンウォードはギドを王の貢物にして堂々と入場してきたのだ。

王の前で跪く二人。ギドが王に喰いかかろうとするとダンウォードに目的の人ではないと止められる。

王もダンウォードだと気が付き仮面を取れと命じた。

ダンウォード・コルヴェクト。

かつて夜の王として君臨していた彼は自分から王座を奪った夜の女王を殺すためにここに来たのだ。

出席者全員がダンウォードを非難する中、ダンウォードは挑発的な言葉を叫ぶ。

すると一人の男が掛かった。

格式ある決闘で自分を認めさせるつもりのダンウォードだが、王は決闘を許さなかった。

しかし、ダンウォードからこの世で最も甘美なる魔女の血を持つギドを差し出され決闘をやらないという選択肢がなくなった王。

決闘はダンウォードの圧勝。誰もがダンウォードを認めるしかなかった。

感想

今までの話とは違い、ギドが好き勝手動けない今回。

アシャフとギドの見せ場が全くなく、ダンウォードの独壇場でした。

ダンウォードの圧倒的な存在感が怖いです。

会って早々にギドに首を喰いちぎられてしまいますが、吸血鬼はふつうの殺し方では死ぬことはない。

街独特の作法があって、吸血鬼達もプライドが高そうで面倒くさそうです。

催し物もプライドを守ることが目的のような変わったもの。

ギドは逆らいたいのに、ダンウォードに従うことが正解だと分かっているので静かにしています。

王に差し出された時のギドの嫌そうな顔ときたら…。

動き出すと野獣なのに、ギドはどんな服装も着こなして作法も様になるのが凄いですよね。アシャフが指導でもしたのでしょうか。

力がすべての吸血鬼の上下関係。すごい街です。

昼間が人間の時間で、夜は吸血鬼の時間。

階層世界それぞれに独自の文明があるようなので、この第4層にしか吸血鬼がいないのかもしれないです。

上も下も分からないようなとんでもない世界もあるとアシャフが言っているので、17つの世界すべて知りたいですね。

 

読み切りの話、魔女が魔女らしくて良い。

テーブルに布を被せると料理が出てくるんです。切実に欲しい。

あっけらかんとしている彼女が可愛くてとても良かったです。

この魔女のような魔女は本編では出てきてくれるのでしょうか。

 



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