感想『とつくにの少女』ながべ 5巻

ダークファンタジー

※ネタバレあります。ご注意ください。

あらすじ

おばは顔だけを残して木になってしまった。

呪いを受けた者は音を失い、身体を失い、使命を失い、何もかも失い、役目を終える。

木になってしまうと呪いから解放されるが、魂は二度と戻ってこれない。

それはおばだけの話ではなく、外の者も内の者も同じ。

せんせはおばが徐々に失っていることに気が付いていた。

シーヴァはせんせがおばのことを黙っていたことを怒った。

忘れ始めていても何かできたはず。また覚えてもらえばいい。

シーヴァが悲しまない様に守りたかったせんせ。しかし、シーヴァは自分だけでなくおばも守って欲しかった。シーヴァは大嫌いだと大声をあげてせんせを部屋から追い出してしまう。

追い出されてしまったせんせは外の者との約束で湖まで来た。

外の者と話をしようとするが、せんせは突然の襲撃にあう。

東の村で外の者に触れてしまい呪いを受けた二人の兵士がシーヴァを探しに来たのだ。

彼らには帰る国もあって、愛する妻もいた。シーヴァを手に入れて人間に戻ることを願っている。

内の国の父のお告げにより、シーヴァは呪いを解くことができるというのだ。

しかし外の者はシーヴァの魂はおかあさんのものだと言う。

兵士達からなんとか逃げることができたせんせは、家に帰るとシーヴァに危険が迫っていることを伝える。

シーヴァが部屋の扉を家具で塞いでしまい入ることができない。

せんせがおばの話を”そんなこと”と言ってしまい、シーヴァはさらに怒り部屋を開けようとしない。

ついにはせんせも怒り出し、ケンカが始まる。

ドアを挟んで言いたいことを言い続ける二人。最後はお互いを「この真っ黒!」「この真っ白!」と不思議な貶しあいとなってしまい、シーヴァは可笑しくて笑ってしまった。

シーヴァの笑い声で一時休戦となり、せんせは兵士がシーヴァを探していることを伝えることができた。

せんせがこれからどうしたらと考えていると、シーヴァがおばが書いてくれた地図を見せてくれた。

その地図にはおばの知り合いの家も書かれていて、せんせは知り合いの家に行こうと言い出した。

翌日、二人は兵士から逃げる為、知り合いの家に向かうことになった。

感想

真実に近づき始めているのは分かるのですが、全く分からないですね。

外の者である黒の子は、おかあさんから身体の一部、音、言葉、時間と記憶を貰い、使命を授かる。

使命とは”奪われた魂を取り返し、あかあさんの所へ返す”こと。

でも、おかあさんから身体を貰う時に、内の国がおかあさんに与えた呪いも貰ってしまう。

だから呪いのせいで貰ったものを徐々に失っていく。

黒の子だけではなく、魂を持った内の者も呪われると外の者よりも早くに忘れていき役目を終えてしまう。

呪いは魂を一番初めに喰らってしまう。

おばは木になってしまいましたが、外の者が言う通り”死んではいない”。

森の木々ももしかしたら元は人だったのかもしれないと思うとゾッとします。

おばが呪いにかかり死ぬことができないことを恐れていましたが、木となってしまうことは知らなかったでしょう。

せんせの方が先に呪いをもらったはずなのに、おばが先に木になってしまった。

外の者もせんせが何者かが分からない。

呪われてしまった兵士とせんせを外の者は似ていると言います。

おかあさんのものをもっていないのに あの魂と同じことをする やっぱり仲間なの?

“あの魂”が誰のことを指しているのか。

“おかあさんのもの”とは魂のこと?

“同じこと”とは、自分で自分を傷つける行為のことのような気がするのですが。

せんせも外の者のこの言葉に対して分からない様子です。

私にも何のことだか分かりません。

内の国でも外の国でもシーヴァの魂が必要。

内の国の父が、シーヴァの魂を取り出して捧げると禍から守られると示した。

外の者は、シーヴァの魂は内の国の者が勝手に奪っていったものでおかあさんのものだと言う。

父はシーヴァの魂を捧げても守られるのは魂だけで、呪いは付き纏うとも告げている。魂以外は呪いを避けることができないということ。

シーヴァは父に選ばれて守られているおかげで、外の者に触れられても呪いの兆候が見えない。

突如湖に現れた大きな外の者。おばが役目を終えたことで生まれた新しい外の者のようです。

それのおかげでせんせは兵から逃げることができました。

 

シーヴァとせんせのケンカは面白いですね。

お互いを貶そうとしているのに、のっぽやら正直者やら、悪口ではない単語が多いです。

知り合いの家に向かう途中、また一人で考え事をしているせんせを笑わそうとするシーヴァ。

彼女が一番強い。呪いを受けて、自分のせいで村が焼かれ、おばを亡くしても元気に笑顔でいるんです。

何もかも嫌になりそうな状況でも、せんせを笑わせて守ろうとしてくれる。

せんせも大事にされていますね。

 

せんせは外の者がおかあさんと呼ぶ者の正体が分かり始めています。

内の国もシーヴァを手に入れるために動き出しました。

謎が増える一方ですが、いろいろと想像しながら読めるので面白いです。

 

 

 

タイトルとURLをコピーしました