感想『ソフィアの円環』山田怜 3巻


※ネタバレあります。ご注意ください。

あらすじ

ソフィアとヴィンクルムの故郷に行くことになったレーガ・サンタ一団。

雪山の中にある長閑な村で目的地の行き方を尋ねると村人達が整備した巨大な洞穴を使えと勧められる。

その洞穴は大部分が未踏で途方もない広さを持っており、村人から正しい道を真っ直ぐに通り抜けるようにと教えられた。

ソフィアも通れるほどの大きな洞穴を進み中間地点で休憩をしていると幽霊の様なものがレーガ・サンタ一団に襲い掛かってきた。

彼らはソフィアを見るとクリプタだと怯え始め、”のりたくない、のりたくない”とアルスに覆いかぶさった。

彼らはアルスと同じヴィンクルムでクリプタに乗り人を殺し続けた結果の姿。

ヴィンクルム達はアルスにクリプタに乗ってはいけないと忠告してきたのだった。

感想

あっという間に謎が解けて、完結してしまいました。

もっと広げられる話だと思っていたのですが、さくっと終わってしまいました…。

エネアとソフィアの深い関係、ソフィアがアルスを導いた理由が明らかになります。

 

クリプタとヴィンクルムの故郷はすでに滅んでいました。

滅んだ故郷を見たソフィアが泣き崩れるような行動を取るのでみんなが驚きます。

そしてエネアがソフィアについて語り始めました。

昔、この故郷に迫害を受けるヴィンクルムを助けたいと思い研究をしているソフィアという女性がいました。

その女性の前にけがをしたエネアが現れます。

エネアは人間ではなく、”冥府の調停者”と呼ばれる存在でした。

本を調べつくし、本では知りたいことがなくなりヴィンクルムの力になれないと苦悩するソフィアにエネアが知識を与えます。

エネアの知識のお陰でヴィンクルムの事が分かり、クリプタを作ることになります。

人々の力になるために生まれたクリプタがいつしか人を殺す兵器として認識されるようになり、反対するソフィアが幽閉されてしまいます。

ソフィアはエネアにクリプタに関わる全てのものを処分する為に故郷に連れて帰るようにお願いをし、クリプタの中に入ります。

でも、ソフィアが幽閉されている間に故郷は滅んでいて、エネアはソフィアを故郷に連れて帰りたくなくて本当に長い間旅を続けていました。

 

エネアは助けてくれたソフィアを好きになり、彼女の助けになるのならとヴィンクルムの知識を与えてしまったからこの惨状が起こってしまったと思っています。

故郷に戻る時はソフィアと一緒に消滅しようと思っていました。

でもエネアは長い旅の中で仲間ができて、ソフィアが兵器でなくても平和に生きていけると感じていたはず。

なによりエネアは自分と似たアルスが変わっていく姿、ヴィンクルムであるアルスとクリプタであるソフィアが一緒に過ごしていけるのを目の前に見ていました。

なのにエネアはソフィアと故郷と消えようとしていた考えは変わりませんでした。

でも変化したアルスがエネアとソフィアを止めてくれました。

エネアを止める為に必死に抱き着くアルスが母親に抱き着く息子の様に見えてしまいましたね。

 

エネアもアルスもソフィアに縛られた旅が終わりました。

これからは自分の為の旅が始まります。

最後のアルスが笑う姿が年相応の笑顔で可愛かったです。

 

 

 



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