ネタバレあります。ご注意ください。
あらすじ
卒業式の日、朝が学校に行くと親友の楢えみり(なら えみり)が泣きながら朝に近寄る。
えみりが朝の両親が亡くなったことを自分の母に話すと、あっという間に学校中に知れ渡ってしまった。ふつうで卒業式を迎えたかった朝は激怒して帰ってしまう。
取り乱したまま帰ってきた朝に、槙生は卒業式はいいけど友達はかえがきかないと語り掛ける。
槙生にとって醍醐は”自分は生きていていいんだ”と思わせてくれた大切な友達だった。
感想(ネタバレあり)
朝は”親が死んだ子”としてではなく、”ふつう”で卒業式に出たかった。
本当に大人はだめですね。朝に確認も取らずに両親が亡くなったことを学校中に知らせていた。
先生達が朝が傷つかないようにと配慮した結果ですが、朝の気持ちが尊重されていない。
帰ってきた朝はイライラしていて、槙生に八つ当たりをします。槙生は「わたしとあなたのケンカじゃないんだよ」と冷静です。これは見習いたいです。冷静な槙生のおかげで朝も次第に落ち着いていきます。
醍醐と槙生は中学から一緒でした。醍醐は槙生がいたから救われて、槙生も醍醐の言葉に救われた。二人とも社交的な人間ではないからこそ、お互いの存在が助けになっていた。みんな社交的な中に自分ひとりだけ違うと生きずらいですよね。
2巻は笠町が出てきたり、槙生と醍醐の友人のコトコやもつが登場します。
お坊ちゃまだった笠町は、完璧を求められていた家庭だったが完璧にはなれなかった。
離婚したもつは、まさか自分が結婚に向いていないなんで思ってもなかった。
相手の期待通りに自分ができるとは限らない。みんながふつうにやっていることが自分に向いているとは限らない。何が自分に向いているかどうかなんてやってみないと分からないものです。
槙生は姉が大嫌いだし、大嫌いな姉の娘である朝を愛せるか分からない。だけど、そもそも槙生は朝を育てようと思って引き取った訳ではない。愛せなくても槙生の立場でできることがある。
気負いせず、自分にできることをすればいいんだと、槙生も改めて実感します。
人と接するのがしんどい槙生の今後の変化が気になりますね。
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