感想『AIの遺電子』山田胡瓜 1巻


※ネタバレあります。ご注意ください。

あらすじ

人が火を手にしてから鉄を作り出すまで気の遠くなるような歳月がかかった

ピストン式の蒸気機関が生まれるのはそれから数千年

原子力が実用化されるのはそれから数百年

機械がチェスで人に勝つのはそれから数十年

技術の進歩はめまぐるしく加速している

 

これは国民の1割がヒューマノイド(ヒト指向型人工知能)となり、人間の体もテクノロジーで変わりつつある世界のお話。

感想

ヒト型AIを専門にする医者のお話です。

私が生きているうちにこんな世界が来てほしいような来てほしくないような複雑な気持ちでした。

 

読んでいてヒューマノイドを作ったきっかけが気になりました。

人口が減って労働人口が足りなくなったからか、あるいはただの技術の成果を披露するため?

 

この漫画のヒューマノイドは人間との違いがほとんどない。

頭の良さも、娯楽を楽しむのも、人間と変わりがない。

ヒューマノイドは頭の改造は許されておらず、法は人間に合わせたものの様です。

人間が作ったものだから人間に合わせるのは当然ですが、半世紀近くもヒューマノイドがいるのにここまで共存できるものなのでしょうか。

ヒューマノイドが人間を支配するようになってもおかしくないと思ってしまいました。

人間も身体の中に機械を入れられるようなのでヒューマノイドが反逆しても対抗はできそうですが。

   

ヒューマノイドにも心があって色んなことを人間と同じように悩みます。

7話の少年が性格を変えた話はなんだか辛かったです。

ヒューマノイドだから性格を変えることは容易いけど、人間にはできない治療をやるというのはどうなんだろう…。

沢山友だちができた方がいいに越したことはないけど、彼の素晴らしいピアノの音色は二度と戻ってこない。

彼はピアノで活躍する未来もあっただろうに。

  

10話も不思議な気持ちになりました。

人間が決めた掟『ヒューマノイドは人らしく生きる』に逆らって海の中で暮らすヒューマノイド。

確かにロボットが好き勝手に進化したら人間は困ってしまいますが、ヒューマノイドでなくても人間が海の中で暮らしたいと思えば暮らすと思いますし(四六時中海の中というのは無理ですが…)

別にダメな事ではないと思います。

本人がそれで良いのであればヒューマノイドだろうと人間だろうと良いのです。

 

8話で「こんな旧世紀の惰性みたいな世界続けたって退屈よ」と言ってますし、世界を変えようとしている人達はやっぱりいるみたいです。  

人間のことだけでも解決できていない問題が沢山あるのに、ヒューマノイドまで生まれてしまったら世界は大混乱してしまいそう…。

やっぱり私が生きているうちには来てほしくない未来ですね。

 

 

 

 



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