感想『とつくにの少女』ながべ 11巻

ダークファンタジー



※ネタバレあります。ご注意ください。

あらすじ

シーヴァはせんせの身体の中にある。

内の者だったせんせは外の者に呪われ魂を奪われた。

その代わりに黒の子から身体を分け与えられ、魂を奪った黒の子は人となりシーヴァとなった。

何もかも奪われ、苦しい時を過ごすことになった原因がシーヴァだった黒の子。

認めたくなくてもこれが現実だった。

苦悩するせんせに黒の子は自分に魂を入れ直せばシーヴァの形に変わると方法を伝える。

しかしこの方法も確実なものではない。

そしてせんせと黒の子には残された時間がわずかしかなかった。

黒の子がせんせに身体を分け与えたことで不完全な器となった黒の子とせんせ。

その2つの器に何度も魂を移し替えることで魂は呪いに晒され続け、今残っている魂はわずかしかない。

残された魂は長く持たない、黒の子も役目を終えようとしている。

黒の子は7日後の朝に母の湖の前で答えを聞かせてほしいと去っていった。

感想

とつくにの少女、完結しました。

黒の子から魂を返されたことで記憶を取り戻したせんせは、シーヴァの魂が自分のものであったことを思い知ります。

以前に母の湖で他の黒の子からシーヴァが黒の子だと聞かされていて、シーヴァが何者でも受け入れると決めていました。

でも憎むべき相手だとは思っていなかった。

黒の子がシーヴァではないと信じたくても、あればシーヴァだったと確信している。

苦悩するせんせに黒の子が近づきます。

せんせには黒の子の真意が全く分かりません。

黒の子がわざわざせんせに自分がせんせを黒の子にしたこと、せんせの魂がシーヴァだったということ、魂を移し替えればシーヴァの形に変わることを伝える理由が分からない。

残された時間はわずかだと伝えられてどうすればいいのか。一人では決められないせんせはシーヴァに問いかけます。

内の国での日々、外の者になってから助けてくれた老人と少年との日々、そしてシーヴァと過ごした日々、すべてがせんせの記憶でどれも大切なもの。

せんせは黒の子にされてからの辛かった時間の気持ちではなく、”今”をどうしたいのかを選びました。

シーヴァと出会えてよかったと思う気持ちは、事実を知っても変わらなかったのです。

せんせはすべての過去を受け入れようとしているようです。

残りわずかの時間を大切なシーヴァと共に過ごすと決めました。

 

せんせを外の者にしたシーヴァだった器の黒の子。

黒の子はせんせが助けを求めてきた時、無意識に助けました。

黒の子はせんせに身体の一部を分け与えた時から心を持つようになりせんせを大切に想ってしまいました。

そして魂を奪ってシーヴァとして存在していたことが嬉しかった。

魂がシーヴァであって器にすぎない黒の子がシーヴァでなくても「私」が存在していることが嬉しかったんです。

嬉しさと同時にシーヴァであった時間の中で黒の子は虚しさを感じていたのかもしれない。

自分はシーヴァではない、「私」として存在していても自分ではなく魂があるから「私」が在るように思えただけ。

魂がなくなった自分はシーヴァではなく、母の一部。

黒の子が心を持ってしまったからせんせと接しているシーヴァは自分とは別の存在だと考えてしまったのでしょうか。

心を持たなければシーヴァとしての魂と自分の器が一つになった「人間」として完成された存在になれた。

シーヴァとせんせが楽しそうに過ごしているのをシーヴァの中で見ていたのなら、とても辛い時間だったでしょうね。

そしてせんせが求めるのは自分ではなく、シーヴァだった魂。

でもせんせを愛おしいと思ったのはシーヴァの魂ではなく黒の子自身の心。

大切だからこそ真実を伝えて、シーヴァを取り戻す方法を伝えたんだと思います。

せんせがシーヴァを望むのなら自分はまた器としてシーヴァを担おうとしたんです。せんせの力になれるのならと。

とても健気な黒の子ですね。 

黒の子の中に残っていたシーヴァの一部が、約束の日より前に一人で母の中に還ってしまおうとする黒の子を引き止めます。

私は誰なのかと問う黒の子に、シーヴァは「あたたはシーヴァあなたよ」と答えました。

魂だけでなく器もあってこそのシーヴァでどちらも欠けてはいけない大切な存在です。

黒の子の心が報われた気がしました。

 

せんせとシーヴァが出会ってから1年も経っていない短い時間での濃い日々でした。

せんせが一人で辛い日々を過ごした時間の方が圧倒的に長い。

でも、その日々があったからこそシーヴァと出会うことができました。

残りの時間を二人で穏やかに過ごしていってほしいですね。

  

内つ国と外つ国の問題は解決しませんでしたね。

互いの国の神は自分が失ったものを取り返そうとし続けるのではないのでしょうか。

内つ国の住民は呪われないように生活できればいいのでしょうけど、黒の子たちは使命があるので動かないわけにはいきません。

最後の黒の子たちが内つ国を見ながら話している会話の内容。

王様は亡くなってしまいましたが、国の様子は変わった感じでした。

せんせとシーヴァの2人の関係は収まったようですが、国の問題や話の設定はもやもやのまま終わってしまいました。

ですが、2人が幸せになりましたで完結するべき物語だと思っているのでこれでいいんですよね。

  

 

 

 



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