※ネタバレあります。ご注意ください。
あらすじ
呪いに蝕まれ始めた兵士が再びせんせの前に現れる。
もう1人の兵士はシーヴァのいる家に向かっていた。
すぐに戻りたいせんせだったが、兵がそれを許さない。
兵はせんせ達が前に住んでいた家を調べ、せんせのことを内つ国の医者アルベルトだと推測した。
一緒に故郷に帰らないかと誘われるが、せんせには帰る場所はすでに在る。
兵が自分の右腕を地面の中に隠し、捕まえられるようにせんせを誘導していたのだった。
切り離しても動かせるため、右手でせんせの足を捕まえる。
せんせに剣を振り下ろそうとしたが、外の者達がやって来て兵を粉々に千切ってしまった。
その一方、シーヴァを襲っていたもう一人の兵は目から枝が伸びていて目が見えていなかった。
クローゼットの中になんとか隠れることができたが、シーヴァはバケツを倒して音を立ててしまう。
兵がクローゼットを開けて捕まえようとする。バケツを囮に外に出ようとしたシーヴァだったが足を摑まえられてしまった。
しかし、シーヴァは靴から足を抜いて裸足で走り出しせんせを探すように大声を出した。
その声で居場所を知らせてしまい、シーヴァは投げつけられた剣で背中を切りつけられてしまった。
首を押さえつけ魂を奪おうとする兵だったが、兵は一気に木になってしまった。
せんせが戻って来て、すぐにシーヴァを救出する。
家に戻り早く手当をしようとシーヴァの様子を見ると、シーヴァの胸に掌ほどの呪いの症状が現れているのを見つける。
せんせは自分が触れたことで呪いを強めたと自分を責めた。
翌日、カラスのような外の者達がやってきて兵達がやって来ると教えてくれた。
せんせは逃げる自信もなく、逃げる前にシーヴァが呪いに蝕まれてしまうと苦悶する。
そこへ違う外の者がやって来て、呪いで失った分の魂を集めて元通りにすればいいと提案した。
本当にそのようなことが出来るのかは外の者も分からないが不可能とは言えない。
せんせがシーヴァのベット横で方法を考えているとシーヴァが目を覚ました。
せんせはしないといけなことがあるから留守番をしていてほしいとシーヴァに告げる。
心細そうに早く戻ってくるかと尋ねるシーヴァに、すぐに戻ると約束したせんせは兵達の居所へ向かった。
外の者達と共に奇襲をかけたせんせは、兵の魂を奪おうと斧を振り回す。
外の者達のおかげで兵達の野営地を燃やすことができ、倒れてきた木の下敷きになった一人の兵を殺そうとしたせんせ。
しかし、せんせは一瞬動きを止めてしまい、兵を逃がしてしまった。
ほとんどの外の者達も使い物にならなくなってしまい、追うことができない。
シーヴァの為に魂を持って帰るはずが失敗してしまい、自分の右足も切られ、完全に無駄足となってしまった。
家に戻る途中、外の者達がシーヴァの靴が落ちているとせんせに伝える。
どうして外にあるのかと疑問に思ったせんせは、慌てて家に戻る。
家のベットにシーヴァの姿はなかった。
感想
どれだけシーヴァを守りたくても守れないことに自分を責め、苦悩するせんせ。
自分が何者かなどどうでもよくて、シーヴァの側が自分の居場所だと断言します。
しかし、そのシーヴァを危険な目に遭わせてしまい、さらには呪いを強めてしまった。
どれだけ自分を責めてもシーヴァが呪いに蝕まれはじめているのは避けようのない事実。
せんせの苦しい心情を見るとこちらも辛くなります。
外の者から提案された、蝕まれた分の魂を別の魂で補うという方法を試すために兵を殺そうとしますが、せんせはできませんでした。
せんせは化け物になりきれなかったのです。
口ではどれだけ化け物になると言っていても、せんせにはできなかった。
兵の魂を奪うことができなかったせんせは自分の魂を渡そうと考えてしまう。
まだ諦めてはいけないと自分に言い聞かせているところに、シーヴァが消えたという事態が起こる。
せんせには絶望以外の何物でもないでしょうね。
自分の無力さを痛感する時は本当に辛いです。
兵達も同じように見ていると辛いですね。
外の者に触れられ、化け物となり、帰る場所も失い、愛する者を二度と見ることができない。
ただ生きているだけでどうして呪いに脅かされ続けないといけないのか。
兵達の悲痛な思い。
兵達を悪者と見えません。彼らにも彼らの目的があって、シーヴァがいれば内つ国の皆が呪いの恐怖から解放されるかもしれないんです。
どちらが悪ということでもないので、とても辛いですね。
殺す以外で方法があればいいのですが。
せんせには心臓がないのかと思っていたのですが、心臓があることに気が付きました。
せんせは同じ形した外の者に心臓を奪われていなかったのでしょうか。
誰も報われる様子がないまま終わってしまった7巻でした。