※ネタバレあります。ご注意ください。
あらすじ
ある雨の日のこと。
おばが森を歩いていると、数体の死体が捨てられていた。
黙祷をしていると、声が聞こえた。
赤子が捨てられていたのだ。
呪いのせいで、赤子であったシーヴァは捨てられてしまった。
呪いの恐ろしさは、化け物となり呪いをうつしてしまうことではなく死ねなくなること。
どんなことをしても死ぬことができなくなる。
だから人であるうちに、呪いを受けた可能性が少しでもあるのなら、自分たちの手で殺さないといけない。
内の国はそうやって怯えて生きてきた。
おばはせんせの提案で一緒に暮らすことになった。
シーヴァはおばに呪われたことを黙っていたことを打ち明ける。
自分のせいでおばが呪われ、村が燃えてしまったと泣きながら何度も謝った。
おばはシーヴァに何も言わずただただ抱きしめた。
食事を持ってきたせんせは二人の楽しそうな会話を聞くと胸が痛くなる感覚に襲われ、部屋に入ることができなかった。
夜、せんせがシーヴァの顔を見ようとしているとおばがシーヴァに近づくなと言う。
せんせのせいで、シーヴァは呪われ悲しい思いをすることになったのだとおばは責めた。
せんせはおばの言葉に何も返すことができない。
翌日、パイを作るため木苺を採りに行こうとおばが言うとシーヴァは三人で行こうとせんせを誘う。
せんせがおばと二人で行くように促すが、シーヴァは三人でと譲らない。
断れないせんせは一緒に行くことになった。
せんせはシーヴァとおばが会話をしているところを見て、また胸のあたりに違和感を感じた。
二人を見たくないせんせは一人でどこかへ行ってしまう。
シーヴァはおばに自分の特等席である大きな切り株のある場所へ案内した。
おばはせんせから逃げてシーヴァとおばの二人で暮らそうと言う。
シーヴァがせんせは悪い人ではないとおばを説得するが、おばは聞く耳を持たない。
それでもシーヴァはおばにいいひとだと言い続け、せんせのいる家に帰ることができた。
翌日、採ってきた木苺を使ってパイを作ることになった。
化け物になってしまったおばは感覚がなくなってしまったのか上手くパイ生地を作ることができない。
おばの代わりにシーヴァが生地をこねるのだが、ボウルが動いてしまいテーブルから落ちたボウルにせんせが足を引っかけてしまう。
さらには粉をもったおばもボウルに躓き、三人は粉まみれになってしまった。
シーヴァは面白おかしくて笑いだしてしまう。
一度片付けようとせんせとおばが洗濯物を干していると、余った材料で作ったパイが出来上がりシーヴァが二人を呼びに来た。
シーヴァが待っているとおばに声をかけたせんせだったが、おばはその場を動かない。
おばはシーヴァが誰か分からなくなっていた。
感想
せんせがシーヴァとおばが二人で仲良く話しているところを見ると胸のあたりに違和感を感じ、シーヴァが自分へ笑顔を向けてくれる時も胸のあたりに違和感を感じ始めます。
シーヴァが大好きなせんせです。
おばにあなたのせいだと言われて、自分のやってきたことが間違っていたのかと考え込んでしまいます。
おばがいればシーヴァは幸せで、自分はいなくても何も変わらない。
それでもシーヴァに側にいてほしいせんせ。
おばがシーヴァを連れて出て行ってしまうのではないかと、一人先に戻ってきたせんせはシーヴァを探しに家を出ますが杞憂に終わります。
シーヴァのせんせに対する信頼はおばでは折ることが出来なかったのです。
せんせがどれだけシーヴァを大切にしてきたのかは、シーヴァを見れば分かります。
パイづくりのシーンは本当に楽しそうな回でもう少し楽しい時間が続けばよかったのですが、まさかこんなに早く終わってしまうとは…。
おばの記憶がなくなるの早すぎます。
一番大切なシーヴァの名前が出てこない、シーヴァの大好きなアップルパイの作り方が思い出せない。
記憶がなくなっていくのが分かるおばは、苦しみます。
おばはパイを作った次の日、シーヴァの寝顔を見ながら忘れるはずがないと自分に言い聞かせますがシーヴァとの記憶が無くなってしまう。
そしてその次の日、出ていったおばの帰りを待っていた二人の元へおばの顔をもった外の者がやってきます。
普通の人間なら、呪いを受けてから化け物になって記憶が完全になくなるまでに1週間はかからないようです。
ただの物忘れなら笑い話ですが、どんどん記憶がなくなっていくというのは恐怖だと思います。
最後は記憶がなくなっているということも分からなくなるのかもしれませんが、それでも悲しいですね。
今まで積み上げてきたものが何も残らない、生きてきた意味や理由も無駄に終わってしまう。
内の国が呪いを恐れるのは当然です。
三人暮らしの楽しい時間が続くのかと楽しく読んでいたのですが、すぐに落とされてしまった4巻でした。