感想『魔女と野獣』佐竹幸典 8巻

ダークファンタジー・バトル
出典:佐竹幸典『魔女と野獣 8』

 


※ネタバレあります。ご注意ください。

あらすじ

女王に拝謁することができたアシャフとダンウォード、オスカーの3人。

アシャフを捕えた褒美をやろうと言う女王に、オスカーは膝をついて魔女(ギド)を一目見たいと望みを伝えた。

女王は居場所を知られた為、3人を生きて帰すつもりはなかった。しかし、ダンウォードが跪けば生き延びる機会を与えようと条件を出す。

一向に跪かないダンウォードに女王の部下が膝裏を蹴る。しかし、ダンウォードに従う気はない。

ダンウォードは仮面を取り女王に復讐するために帰ってきたと声を荒げ、ついに女王との戦いが始まった。

満足に血を得られていないダンウォードと、魔術を使える吸血鬼である女王。

今のダンウォードでは女王には敵わない。しかしダンウォードにとって、相手が強大であるから逃げ回るという名誉なき生には何の価値もなかった。

最も月の魔力に愛された者であるダンウォードは力を出し始める。誰も止められないダンウォードに女王が一撃を喰らわそうとするが、ダンウォードは女王の頭を奪い取った。

しかし、ただの吸血鬼なら死も同然だが女王は魔女の力を持っている。すぐに再生した女王にダンウォードはやられてしまう。

ダンウォードが魔道具によって焼き殺されようとしている瞬間ギドが現れ、禁具である斧を女王に向けて振り下ろした。

ギドの攻撃によって一命を食い止めたダンウォードにオスカーが自分の血を飲めと命令する。

プライドの塊であるダンウォードは”王の品格と誇りを”という言葉に縛られ続けていた。

それは、人間であったダンウォードの亡き妻の言葉。

ダンウォードがどれだけ拘りに固執していたとしても、復讐もできず契約も守れない負け犬と心中などオスカーはご免だった。

ダンウォードの目的は憎き女王を討つこと。なすべきことをなす為に用いる手段に限度はない。

観念したダンウォードはオスカーの血を飲み、真の力を得たダンウォードは女王を討ったのだった。

感想

吸血鬼の世界、終幕しました。

今回は、勘違いしたセフレが力を持ったことで自分を捨てた男性とその家族を殺し、一命を取り留めた男性は家族を殺された憎しみからセフレに復讐した。

簡単に言えばこんな感じでしょうか。

ダンウォードが家族を愛していたのは分かりますが、純粋に吸血鬼としての力が強く暴君だったのがいけない。

妬み憎まれて当然です。”力ある者が上に立つ”という掟通りに力を振るってきただけですが、これは同情できないなぁと思いました。

吸血鬼としてのプライドが人一番高いダンウォード。生きずらそうですが、名誉なき生には意味はないという信念はかっこいい。

女王は誰かに愛されたかっただけ。憐れです。ダンウォードにも魔女にも愛されなかった。

これほど美人なのに、誰にも愛されないなんて…。

ギドの戦闘シーン、少なかったですね。ダンウォードがメインなので仕方がないのですが、もっと暴れて欲しかった。

血族コングラードが最後にやって来ますが、オスカーによってあっけなく計画は失敗に終わります。

オスカーは”偉大なる魔女”の系譜でした。17人中6人目の魔女の登場。

太陽の力というチートです。太陽があるなら、月もあるのかもしれません。

階層世界は17人の魔女がそれぞれ造った世界。オスカーの系譜の魔女がこの地下4階の吸血鬼の世界を造ったのだとしたら、太陽の力なのに何故夜にしか動けない吸血鬼がいるのか不思議です。

夜がない世界というものなら魔女の力が分かりやすいのに。何が目的で階層世界を造ったのか気になります。

 

“階層世界に直接影響を与えることは禁忌”という魔女達のルールを破ったアンジェラは罰を受けないといけない。

そして、アンジェラはダンウォードの娘の身体に変わっている。

アンジェラを追う人達がまた増えましたね。

アンジェラはこの状況をただ楽しんでいるだけなのか、何か目的があるのか。

 

次はファノーラが登場しそうなので、楽しみですね。

 

 

  



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