感想『魔女と野獣』佐竹幸典 2巻

ダークファンタジー・バトル

※ネタバレあります。ご注意ください。

あらすじ

第4大陸西部フェレースの地方都市ハイデンでの魔女事件。

聖騎士団が介入すべき事件を市長の”独力による事件解決”という栄誉欲しさに事件が解決せず、死人が増えるばかりの悲惨な現状が続いていた。

脆弱な警察組織で唯一の魔術師であるヘインスが、市長へ抗議すべきなのだが彼女は抗議をしない。

ヘインスと行動していたアシャフとギドは彼女から分かれた後に魔女からの襲撃に遭う。

この魔女事件はヘインスが住むアパートの全壊から始まった。

アパートの全壊で彼女の息子達は死んでしまい、魔女と警察の戦闘で彼女の恋人ルーベンも死んでしまった。

魔女は何故かヘインスの親しい人を狙っていた。

ヘインスは魔女への復讐のために、市長に抗議をせずこの惨状を見逃していたのだった。

アシャフとギドが襲撃に遭った夜、魔女から予告状が届く。

予告日、予告通りに警察署にやってきた魔女は建物を爆発させ爆風で視界を遮り手当たり次第に殺していった。

魔女が去った後、アシャフが放っていた使い魔であるカラスが魔女の居場所を特定する。

そこにいたのは、魔女ではなくヘインスの息子達だった。

 

ある州内でメンテナンス不良による死屍人”アンデッド”の暴走が相次いでいた。

暴走している場面に遭遇したアシャフとギドだったが二人はアンデッドは専門外なため、魔響教団随一の死霊魔術に長けたファノーラと下僕のヨハンが引き継ぐことになった。

廃墟で正気を亡くしたアンデッドを誘き出そうとアンデッドにしか視えない灯を灯す。

すると、予想以上の数のアンデッドが集まってきたのだ。

アンデッドは瞬間移動ができるわけではない。同時に廃墟に着いたということは同じ場所からやって来たと推測。

アンデッド達の足跡を辿ると森の奥地の建物に行き着いた。

 

感想

アシャフとギドがかっこよく、ファノーラが美しくて、ヨハンがファノーラに忠実でかわいいことが分かった2巻。

アシャフは前に出て戦うタイプではないのか、基本はギドが殴ったり殴ったり。

可愛い見た目のギドが野獣のように動き回るのが、次第にかっこよく見えてきました。本来は野獣なんですが。

そしてアシャフがイケメンすぎて…。ギドも契約とはいえアシャフになんだかんだ従っているところが良い。

ハイデンの魔女事件は1巻から2巻にかけての話です。

魔本が何故ヘインスの家の机にあったのか、よくわからなかったですね。

魔本自体が生贄を与えてくれそうな人の元に移動することができるのでしょうか。

手に取ってしまった人は自分が死なない限り魔本から離れることができないのか、魔本の力を手放すことが出来ずに生贄を捧げ続けていたのか。

魔法関係は少し謎に包まれていた方が、あれこれと想像できるので楽しいですね。

息子達はヘインスを愛していたから、彼女と敵対しないように魔女と思わせるようにしていた。

彼女の彼氏を殺してしまったばかりに結局は敵対してしまうのですが、息子達の愛はヘインスには届かなかった。

これはもう情けも何もないです。ヘインスの言った通り、やりすぎました。

 

アンデッド事件。

死霊魔術があるものの、死者を蘇生させること自体はあまり良いものとして扱われていない世界観。

ファノーラ、本当に美しいです。

冷たい空気が彼女から漂っているのは、彼女が死霊魔術の魔女だから。

文字通り人間離れした女性。

誰よりも死者を蘇生させることの重さを理解している。

蘇生を望むか転生を望むか。

知らない赤の他人の私欲のために蘇生されたら、たまったもんじゃないですよ。

一度蘇生されると、二度と転生ができない。

私は転生を望みます。次の人生を歩みたいです。

でも大切な人がいるのなら、蘇生を選ぶのかもしれません。

難しい問題です。

アンデッドにも自律、洗脳、支配の3つの状態があるようです。

ファノーラが持つ死霊騎士。恐ろしすぎます。

魔女の魔力があってこその騎士達で、ファノーラも敬意を払っているので大切に扱われているのでしょうけど、怖すぎます。

死霊騎士とは違うようですがヨハンは自律のアンデッドなのでしょうか。ファノーラからあまりいい扱いをされていないシーンが多いですが、ファノーラもヨハンを大切にしている様子も見られます。

ヨハンもそれを良しとしているので、経緯が気になりますね。

ファノーラにかっこよかったと言われて気を良くするヨハン。忠実な犬にしか見えないですね。

ファノーラはすでに魔響教団に入っているのでギドと戦うことはないとは思いますが、死霊騎士とギドの戦闘も見てみたいです。

ファノーラの美しさと恐ろしい力に圧倒された2巻でした。

 

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